蝉丸神社~三井寺へ 3

滋賀県の蝉丸神社に来ています。話しの続きを書いてみます。

 

「蝉丸さんは俳句で有名ですけど、何かコツというか秘訣みたいなのがあるんですか?」

「俳句? いやワシのは俳句とはちと違うのだが・・・、まあよい・・・、まずは、その道が好きであるという事が大事だ。好きであるから長く続けられるし、長く続けるから技量が上がるのだ。これが一番大事な事だ。お前は何かやっておるのか? なに、何もやっておらん? まあそれは良い、これから何か見つければよい。ワシの場合は歌の道だが、これは別に何でも良いのだ。創作は良いぞぉ~、人生を豊かにしてくれる。心が豊かになるのだ」

「次に大事なのは他者の作品を学ぶことだ。先人の残した作品など、沢山たくさん学ぶことだ。そうすることで創作の幅が広がるのだ」

「ある程度まで来たらそこからは先は歌の読み手を意識して書くことだ。創作というのは他者の手に渡ってようやく完成と言える。自分ひとりで満足するのも悪くはないが、独りよがりに陥りがちだ。そういう点で、現代の歌い手でも惜しい者が居る。優れたものを持っておるのだが・・・」

そうすると目の前に複数の人物の映像が浮かんできました。現代の服装でラフなファッションです。マイクを持った人とドラムセットの向こう側に座っている人とエレキギターを持っている人が2人ほど・・・。ロックバンド、いやパンク? ラップ? え? え? 歌ってこっちの歌!? するとギターを持っている人の映像が強調されて浮かび上がってきました。

「お前はこういうのはやっておらんのか?」

「い、いえ、自分は楽器は全然ダメなんすよー・・・」

「そうか・・・、まぁそれはそれでよい」

家に帰って調べたら、蝉丸さんは琵琶の名手でもある事が分かりました。弦楽器の演奏全般に関心がおありなのかも知れません。それとバンド活動をやっている人が蝉丸さんにあやかろうと参拝に訪れるのかも知れません。聞いてみればよかったです。

後世に名前を残す人って、やっぱりすごいんやなぁ~。熱量というか熱意というか・・・。と思いながら能楽堂のところに降りてきて写真を撮っていましたら、「地べたを撮ってくれ」と仰るのです。「え、草が一面に生えているだけですが?」「それがよいのだ」とのこと。なるほど良く見ると緑のじゅうたんみたいで綺麗です。

 

つづく